オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーレンズのフルオロセインパターン
オルソケラトロジーとは、ガス透過性ハードコンタクトレンズを装用し、角膜中央部を扁平化させ屈折力させることで裸眼視力を一時的に向上させるものです。
現在主流となっている夜間装用のオルソケラトロジーレンズに対しては、米国において2002年にFDA(米国食品衛生局)が最初の認可をおりました。現在、海外では数多くのオルソケラトロジーレンズが発売されていますが、日本では厚生労働省の認可を受けていないため、海外から個人輸入という形態でオルソケラトロジーレンズを輸入し、希望者に処方している医師が増加しています。しかしながら、このオルソケラトロジーに関しては、矯正効果、安全性に対して、海外でも、日本でも賛否両論があります。
オルソケラトロジーレンズの模式図
オルソケラトロジーの問題点
オルソケロトロジーにより生じた角膜中央部の角膜白斑
オルソケラトロジーの効果は一時的なもので、永久に続くものではありません。数日間、レンズの装用を中止すれば、裸眼視力は元に戻ってしまいます。強度近視では十分な矯正効果を期待できません。また、オルソケラトロジーにより、すべての人が日常生活に支障をきたさない(0.7以上)もしくは(0.7〜1.2)の視力が得られるものではなく、視力の変動を伴うので車の運転など、危険を伴う作業には向いていません。視力の質でも眼鏡やコンタクトレンズの装用よりもオルソケラトロジーは劣るといわれています。
オルソケラトロジーの長期安全性についての情報は不十分です。角膜にiron ringがオルソケラトロジーで出現することが報告されています。角膜内皮への短期的な影響はないという報告はありますが、長期の影響は不明です。近視矯正効果を継続するためには、永続的にオルソケラトロジーレンズの使用が必要である。またオルソケラトロジー中止後は、近視矯正効果は消失しますが、不正乱視や角膜の高次収差を含めて完全に角膜が正常に戻るというデータはまだありません。