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試験の解説

※試験は2006年から2009年にかけて実施し、この時期に市場に流通していたコンタクトレンズおよびレンズケア用品を用いています。

最初に新品のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを用いた試験を行った。しかし、コンタクトレンズの実際の使用状況では、レンズに付着した蛋白、脂質、涙液成分などの汚れや、レンズの劣化も試験結果に影響を与えると考えられたため、実際の装用サイクルに基づいて1週間使用したシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを用いて試験を行い、最初の試験と比較した。

シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズとマルチパーパスソリューション(MPS)の適合性
―新品レンズと使用1週間後のレンズとの比較―

  オプティ・フリー
プラス
レニュー
マルチプラス
エピカコールド
O2オプティクス 試験@
新品レンズ
1.5 6.1 1.9
試験A
使用1週間後のレンズ
1.2 4.5 1.5

  オプティ・フリー
プラス
レニュー
マルチプラス
エピカコールド
アキュビュー
アドバンス
試験@
新品レンズ
0.5 6.6 3.2
試験A
使用1週間後のレンズ
1.1 3.1 1.1

  オプティ・フリー
プラス
レニュー
マルチプラス
エピカコールド
アキュビュー
オアシス
試験@
新品レンズ
2.0 3.4 1.7
試験A
使用1週間後のレンズ
1.2 3.2 1.1

O2オプティクスとアキュビューオアシスに関しては、新品レンズ、使用1週間後のレンズともにオプティフリープラスとエピカコールドの角膜ステイニングの発生率に有意な差はなく、レニューマルチプラスはこれら2種類のMPSと比べ、その程度が有意に高かった。つまり、 O2オプティクスとアキュビューオアシスについては、新品レンズの結果と実際の装用サイクルで使用したレンズの結果の傾向が一致しており、新品レンズで得られる結果で、実際の使用における角膜ステイニングのリスクを推測できることが分かった。

一方、アキュビューアドバンスについては、PHMBを含むMPS(レニューマルチプラス、エピカコールド)との組み合わせにおいて、使用1週間後のレンズの角膜ステイニングの発生率が新品レンズよりも有意に軽度であった。つまり、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの種類によって、新品レンズの結果と実際の使用における角膜ステイニングの発生に差が生じるものがあった。

角膜ステイニングは短時間で消失するとしても、一時的に角膜の健常性は損なわれ、角膜炎などの感染症のリスクファクターとなりうると考える。レンズケア用品とシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの適合性(相性)も重要であるが、同じ組み合わせを使用しても、個々で角膜ステイニングの発生程度は異なることを理解しなければならない。

今後、レンズケア用品とソフトコンタクトレンズの選択に際しては、それらの相性を十分に把握し、さらには角膜ステイニング発生の程度に個人差があることも理解したうえで選択すべきである。また、たとえ相性のよい組み合わせであっても、実際の使用状況のなかで角膜の状態を詳細に観察していくことが重要であると考える。