老視とは
加齢に伴う水晶体の弾性の低下により、調節力が低下した状態をいいます。簡単に言うと年をとって水晶体が硬くなることで、水晶体が膨れにくくなり、ピントを合わせることが出来なくなり、近くが物がみえにくくなる状態です。正視(正常)の人では、42歳頃に始まって60歳頃まで進行します。遠視の人では、30歳代でも、症状が出現することがあります。
コンタクトレンズ装用者の老視への対応
これまでにもコンタクトレンズ装用者の老視に対しては様々な対応(1〜5)がされていました。しかし、そのような対応でコンタクトレンズ装用者が決して100%満足していたとはいえません。そこで登場してきたのが老視用コンタクトレンズです。けれども老視用コンタクトレンズも長所と短所を持っています。従来の単焦点のコンタクトレンズの方が老視用コンタクトレンズ(バイフォーカルコンタクトレンズ)よりも優れている点もあり、コンタクト装用者の老視に対しては、老視用コンタクトレンズだけではなく、個々のニーズに合わせて最適な矯正方法を選択することが必要です。
コンタクトレンズ装用者の老視への対応方法
- やや弱めの度数のコンタクトレンズ(コンタクトレンズの度数を中間距離にあわせる)
- コンタクトレンズと老眼鏡の併用
- コンタクトレンズを近くに合わせて、コンタクトレンズの上から遠用眼鏡(あるいは遠近両用眼鏡)の併用する
- モノビジョン(コンタクトレンズの度数を片眼を遠くに、他眼を近くに合わせる)
- 度数の異なるコンタクトレンズを使い分ける
- 老視用コンタクトレンズ
老視用コンタクトレンズの種類と特徴
素材面からは老視用ハードコンタクトレンズと老視用ソフトコンタクトレンズに、光学的な機能面から交代視型(視軸移動型)と同時視型に、形状面からはセグメント型、同心円型、回折型に、焦点の面からは二重焦点、多焦点、累進多焦点に分類できます。
【老視用ハードコンタクトレンズ】
1. 交代視型・セグメント型・二重焦点
セグメント型の老視用ハードコンタクトレンズ
遠用光学部は上方に、近用光学部は下方にデザインされています。視線を移動することによって、ハードコンタクトレンズが目の上で移動し、瞳孔とコンタクトレンズの位置関係を変化させ、遠用光学部と近用光学部を使い分けます。理想的な処方がなされれば、良好な遠見と近見視力が得られるために、視力の要求度、必要度が高い人に適します。
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2. 交代視型・同心円型・二重焦点
同心円型・二重焦点(中心遠用)の老視用ハードコンタクトレンズ
レンズの中心から同心円状に遠用光学部、移行部、近用光学部が配置されています。前面デザインにより、正面視で遠方、下方視で近方がみえるように設計されています。従来のハードコンタクトレンズと同様のレンズフィッティング手法で処方可能です。レンズデザイン上、理想的な処方が出来れば遠方視、近方視とも満足した視力が得られます。ただし移行部分で、視力不良を自覚することがあります。
3. 同時視+交代視型・同心円型・累進多焦点
同心円型・累進多焦点(中心遠用)の老視用ハードコンタクトレンズ
累進多焦点はレンズの前面、および、後面を非球面形状として、レンズの中心から周辺にかけて連続的に度数を変化させています。その結果、中心部に遠用、周辺部に近用、その間に中間距離が配置されています。光学的原理は、遠方と近方の双方の像が同時に網膜に結像し、脳がどちらか必要な像を選択し、必要でない方の像には抑制がかかると考えられていますが、視線の移動により、瞳孔とコンタクトレンズの位置関係が変化し、交代視の機能も併せ持ちます。
長所 |
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4. 同時視・同心円型・累進多焦点(中心遠用)
レンズの後面を非球面形状とすることで累進多焦点が設計されている。そのため加入度数は一定で変更することはできません。
【老視用ソフトコンタクトレンズ(すべて同時視型)】
老視用ソフトコンタクトレンズは、すべて同時視型であり、共通する長所と短所を持ち合わせています。
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