コンタクトレンズのトラブルを予防するためには、目の状況だけではなく、個々の生活パターンに合わせてコンタクトレンズを選択することも重要です。
パソコン、ワープロ作業に従事する人
パソコンやワープロ作業中はまばたきの回数が減少し、涙が不足しがちです。ソフトコンタクトレンズ、特に従来型ソフトコンタクトレンズを汚れた状態で装着していると、角膜表面の乾燥が進んで、眼障害が起こりやすくなります。このようなケースではガス透過性ハードコンタクトレンズ、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ、1日使い捨てソフトコンタクトレンズが適しています。症状に応じて人工涙液の頻回点眼、ヒアレイン点眼(眼科処方薬)を併用します。しかし、最も一番良いのはメガネです。
夜勤が多い人
夜遅くまで働いたり、遊んでいることが多いという理由で、連続装用レンズを希望する人がいます。連続装用はできるだけ避けるべきです。終日装用よりも連続装用の方が眼障害の発生頻度が数倍高くなります。ソフトコンタクトレンズはハードコンタクトレンズに比べて目への酸素供給は劣ります。夜遅くまで装用する、つまり装用時間が長くなる人には、高酸素透過性のガス透過性ハードコンタクトレンズが適しています。ソフトコンタクトレンズを選択するのであれば酸素透過性が高いシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが良いでしょう。徹夜になるときは、最初からメガネを使用しましょう。また、一日使い捨てコンタクトレンズを使用し、一定時間を過ぎたら、メガネに切り替えるのもよいでしょう。
時間に余裕がない人
時間がないといって、レンズケアを嫌がる人がいます。ハードコンタクトレンズは洗浄、ソフトコンタクトレンズは洗浄、消毒が欠かせず、手抜きをするとコンタクトレンズが汚れたり、微生物がコンタクトレンズに付着して眼障害の原因になります。時間に余裕のない人は1日使い捨てソフトコンタクトレンズが適しています。
化粧がコンタクトレンズにつきやすい人
化粧品汚れが付着したハードコンタクトレンズ
化粧品はコンタクトレンズの大敵です。とくにハードコンタクトレンズでは化粧品がつくと、くもりの原因となります。化粧品は洗浄してもなかなか落ちません。コンタクトレンズが化粧品で汚れてしまう人は、汚れにくい低Dk値(酸素透過性)のガス透過性ハードコンタクトレンズで、研磨剤入りのクリーナーでこすり洗いのできるタイプを選択したほうがいいでしょう。それでもレンズが汚れるという人は1日使い捨てソフトコンタクトレンズがよいでしょう。
スポーツをする人
1日使い捨てSCLスポーツにはソフトコンタクトレンズが適しています。サイズが大きく、激しく動いてもはずれにくいからです。しかし、絶対にソフトコンタクトレンズでなければならないというわけではなく、ハードコンタクトレンズでもラグビー、柔道などの激しいスポーツ以外は大抵問題なく使用できます。ハードコンタクトレンズは大きさを変更することができ、大きなサイズのハードコンタクトレンズははずれにくく、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツでも使用可能です。
一般の人は毎日、長時間スポーツをすることが少ないので、日常生活はガス透過性ハードコンタクトレンズを装用し、激しいスポーツのときだけ1日使い捨てソフトコンタクトレンズが良いでしょう。
水泳の場合、コンタクトレンズをはずして行う必要があります。水泳中、コンタクトレンズ装用がどうしても必要なら、1日使い捨てソフトコンタクトレンズを使用し、水泳中はゴーグルを必ず使用し、水泳が終わったあとは装用していたレンズをすぐに捨てて、新しいものにするか、他のコンタクトレンズに交換して下さい。