眼科専門医でコンタクトレンズ処方を受ける
半数以上のコンタクトレンズ装用者がメガネ店・コンタクトレンズ量販店に隣接する診療所で処方してもらい、そのメガネ店・コンタクトレンズ量販店でコンタクトレンズを購入しています。しかし、メガネ店・コンタクトレンズ量販店に隣接する診療所は眼科を標榜していても、眼科以外の医師がコンタクトレンズの処方をしているところが少なくありません。そのためコンタクトレンズの処方が不適切で眼障害の原因となっています。最近、通信販売、薬局、インターネットでコンタクトレンズを購入してトラブルに遭っている人も急増しています。
目のトラブルを予防するには目の状態にあったコンタクトレンズを処方してくれて、適切な装用、レンズケアを指導してくれる眼科医を選ぶことが大切です。やはり、眼科専門医のいる病院・医院で処方してもらった方が、処方・指導のミスが少なく安心です。
正しいレンズケアを行う
いろいろなレンズケアシステムが普及しています。洗浄はつけおき洗浄が主流となってきていますが、従来のこすり洗いよりも、つけおき洗浄は洗浄効果が劣り、やはりコンタクトレンズが汚れやすい人は従来のこすり洗いを併用する必要があります。
ソフトコンタクトレンズの消毒方法ではコールド消毒(薬品による消毒)が普及してきました。煮沸消毒で起こるレンズの劣化、変形、汚れの固着が少なく、コンタクトレンズの寿命が延びましたが、水道水や自家製生理食塩水の使用は厳禁で、レンズケースの毎日の洗浄と乾燥、定期的な交換も必要となります。煮沸消毒にしても、コールド消毒にしても汚れの強い人は消毒する前に必ずこすり洗いをしましょう。
無理なコンタクトレンズ装用はしない
コンタクトレンズの装用時間が長いほど目のトラブルは多くなります。特に連続装用は終日装用(朝はめて夜ははずす)よりもトラブルが激増します。連続装用が必要のない人は終日装用に変更しましょう。
目を洗わない
洗眼用品使用者にみられたハードコンタクトレンズによる角膜上皮障害
最近、目を洗う洗眼剤を使用する人が増えています。これは目にとって逆効果になることが多いので注意してください。目の表面には涙があり、涙には殺菌作用、目を刺激から守る作用の成分が含まれています。またムチンといって目の表面に涙を保持する作用のある物質も含まれています。目を洗うと、涙を洗い流してしまい、完全に再生されるまで非常に時間がかかります。その間、殺菌作用などが低下し感染を起こす危険性が高まり、外的刺激にも弱くなるため、コンタクトレンズで角膜が傷つきやすくなります。洗眼を習慣化するとドライアイ、慢性結膜炎になります。目に薬品が入ったり、プールの後など特別な場合を除き、出来るだけ目を洗わないようにしましょう。
目薬の乱用を避ける
市販の点眼薬
目が疲れるといって、市販の目薬をしきりに点眼する人が増えています。点眼すると一時的に充血がとれ、目がスキッとします。しかしながら、そのような目薬の中には血管収縮剤(塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドラジンなど)が含まれているものがあります。常用しているとかえって充血が悪化したり、ドライアイの症状も出現します。コンタクトレンズ装用者は、装用しているときも、装用していないときも、血管収縮剤や刺激の強い成分が含まれた市販の目薬の乱用は避けましょう。
定期検査を受ける
定期検査を受けていないコンタクトレンズ装用者が多いようですが、それは大きな間違いです。例えば、角膜上皮障害は一般的に軽症から重症へと徐々に進行していきますが、軽症の段階では自覚症状に乏しいため、症状が出現した時には重い障害に至っていることが多いのです。軽症の段階で適切な対応をすれば、重篤な合併症を予防することも出来ます。したがって、症状がなくても、障害を早期に見つけるために定期検査が必要なのです。定期検査では眼障害の有無だけでなくコンタクトレンズの汚れ、変形、ドライアイの状態など眼障害の原因となるトラブルを見つけ、必要な対策を講じることにより、眼障害の予防ができます。
定期検査を受けることにより、眼障害の発現率は少なくなります